英語を仕事で使えるようになりたい。でも、何から始めればよいのかわからない。留学や海外駐在をしなければ、本当に使える英語は身につかないのか。
私自身、海外駐在も留学も経験していません。英語は独学と実際の仕事を通じて身につけました。日本企業2社、外資系企業6社で働き、海外出張は70回以上。TOEICの最高スコアは965点です。
振り返ると、私の学習法は「難しい英語をたくさん知ること」ではありませんでした。自分の仕事で使う表現を覚え、実際に使い、相手に通じた表現を自分のものにしていく。その繰り返しです。
この記事では、長年の実務経験からたどり着いた、仕事英語の身につけ方をまとめます。
仕事英語は、学校英語とは別物と考える
外資系企業で働き、米国本社との電話会議にも参加していた頃、大学入試の英語問題を高校生と一緒に解いたことがあります。結果は、普通の高校生だった相手に負けました。
試験で点を取る力と、英語を使って仕事を進める力は同じではありません。仕事で必要なのは、難しい構文を知っていることよりも、目的を明確に伝え、相手の返事を理解し、次の行動につなげる力です。
私の仕事英語習得法は、4つの段階に分けられる
1.自分の仕事で使う英語から始める
最初から幅広い日常会話を身につけようとすると、学ぶ範囲が広すぎます。一方、自分の仕事なら、扱う製品、業務の流れ、よく起きる問題、相手に依頼する内容をすでに日本語で理解しています。
購買なら、見積もり、納期、品質、在庫、支払い。管理職なら、進捗、問題、原因、対策、意思決定。まずは、自分が毎日使う言葉と場面から英語にしていく方が、早く実務で使えるようになります。
2.大量に触れて、自分の中に「英語のデータベース」を作る
英語は、一度見ただけですべて覚える必要はありません。忘れるのは自然なことです。それでも、メール、会議、教材、音声などで大量の英語に触れていると、よく使われる表現には何度も出会います。
最初は「見たことがある」だった表現が、「意味がわかる」に変わり、やがて「自分でも使える」に変わります。1日5分でも続けること、移動中に聞き流すことにも意味があります。何もしない日を増やさず、英語との接点を切らさないことが大切です。
3.単語ではなく、表現のかたまりで覚える
単語を一つずつ覚えても、仕事の場面ですぐに文章にはなりません。私は、例文や短いフレーズをひとまとまりで覚えました。
教材だけでなく、実際に届いたメールも生きた教材です。米国の仕入れ先とやり取りしていた頃、教材で覚えた表現がネイティブのメールや会話に何度も出てきました。覚えたままの表現を使ってみると、きちんと通じました。
また、どんなに厳しい内容のメールにも、嫌味がなく気持ちのよい返信をする人がいました。「この人の英語を真似したい」と思い、その人の表現を一生懸命取り入れました。仕事が上手な人の英語を真似ることは、非常に効果的な学習法です。
4.覚えた表現を使い、通じたら定着させる
知っている英語と、使える英語は違います。使えるようにするには、声に出す、メールに書く、チャットで使う、会議で話すなど、アウトプットが必要です。
私が大切にしてきたのは、次の循環です。
覚える → 使う → 相手に通じる → 自分の表現として定着する
英会話レッスンも、先生から新しい知識をもらうだけの場所ではありません。覚えた表現を実際に使い、通じるかどうかを試す場所として活用できます。
会話を止めないための実践力
仕事の会話では、わからない単語が一つ出てこないだけで黙ってしまうのはもったいないことです。難しい単語が出てこなければ、知っている簡単な英語で説明します。
たとえば discrepancy が出てこなければ、the difference between two things that should be the same と説明できます。正解の単語を思い出すことより、会話を止めずに意味を伝えることの方が大切です。
聞き取れなければ、もう一度言ってもらえばよいのです。わからないまま話を進め、後で大きな取り違えになる方が問題です。特にノンネイティブ同士では、どう読んでも一つの意味にしか取れない、短く明確な英語を心がけます。
ネイティブのような発音を目指す必要はない
昔習っていた英会話の日本人の先生から、「発音がネイティブのようにきれいでなくても、言っている内容がしっかりしている人は信頼される」と教わりました。その言葉を聞いて、気持ちがとても楽になったことを覚えています。
もちろん、相手が聞き取れる発音は必要です。しかし、ネイティブのアクセントを身につけることがゴールではありません。結論が明確で、根拠があり、約束したことを実行する。その積み重ねが、仕事上の信頼につながります。
AI時代は、英語学習の負担を減らせる
今はAIに英文を直してもらい、より自然で明確な表現を提案してもらえます。これは大きな進歩です。ただし、AIが作った英文が、自分の意図、相手との関係、仕事の状況に合っているかを判断するのは人です。
AIを使って下書きや添削の時間を減らし、その分を「実際に使うこと」と「相手との関係を築くこと」に使う。これが、これからの仕事英語の学び方だと思います。
今日から始める5つのこと
- 自分が仕事でよく使う場面を一つ選ぶ
- その場面で使う短い例文を3つ集める
- 例文を単語ではなく、文章のかたまりで覚える
- メール、チャット、音読などで実際に使う
- 通じた表現を保存し、次回も使う
最初から完璧を目指す必要はありません。毎日の仕事に小さく英語を組み込み、使える表現を一つずつ増やしていく。それが、遠回りに見えて最も確実な方法でした。
まず英文メールから始めたい方へ
仕事英語の中で、最も始めやすく、効果を実感しやすいのが英文メールです。会話と違って考える時間があり、AIで確認しながら、自分の表現を蓄積できます。
